リボン刺繍との出会い
実家に帰っていたある日、子供の頃から大好きだった雑貨屋さんに、久しぶりに買い物に行きました。アンティークやカントリー雑貨が並ぶ、可愛らしい店内。その一角に、ひときわ愛らしい作品たちが並ぶ空間があり、目が離せなくなりました。好みのど真ん中だったのです。
その作品の制作者が、谷美砂子先生でした。私が惹かれてずっと見ていると、雑貨屋さんのオーナーさんが「ここで先生のリボン刺繍教室をやっているんですよ」と教えてくれました。その場で、初回レッスンの予約をしたのを今でも覚えています。
幼い頃から手仕事が好きで、手芸や工作にはずっと親しんできましたが、何かをきちんと「習う」ことはそれまでありませんでした。「こんなに素敵な作品を、自分も作ってみたい」――その気持ちだけで、リボン刺繍の世界に飛び込みました。
2010年に谷美砂子先生に師事してから、気づけば17年。今も変わらず、この世界に夢中です。
制作へのこだわり
同じ図案でも、力の加減ひとつでできあがるお花の表情は一輪ごとに変わります。糸の刺繍に比べて一針で大きく進むリボン刺繍だからこそ、その一針がお花の顔つきを大きく左右する。リボンのたわみやねじれを意識しながら、思い通りの表情になるまで、やり直すこともしょっちゅうです。
お花の向きひとつにも、「実際のお花だったらどんな向きに咲くか」を考えてデザインしています。使う布やリボン、レースの色や種類も厳選していて、原価は高くなってしまいますが、私の作品を身につけてくださる方はいつも洗練された装いをされているので、それに見合うものをお届けしたいと思っています。
色合いへのこだわりは、幼い頃からクレパスと色鉛筆で描かれた優しい風合いの絵本が好きで、家にはカントリー雑貨がたくさんあって、それらを読みふけっていた記憶からきているのだと思います。お客様からも「色合いが好き」「布合わせのセンスが素敵」というお言葉をよくいただきます。
教室で大切にしていること
生徒さんに安心して楽しんでもらうための環境づくりは、谷先生の教室で肌で感じ、大切に受け継いできたものです。技法の素晴らしさだけでなく、人と出会い、一緒に手を動かす時間そのものの楽しさを教えていただきました。
心地よく、楽しみながらリボン刺繍をしていただくこと。教室に通うこと自体を楽しみにしてもらえるように、初心者の方にもわかりやすく説明し、つまずいているところは一緒に考えます。何度聞き直していただいても大丈夫です。
とにかく、リボン刺繍を楽しんでほしい。作品が少しずつ出来上がっていく喜びを感じてほしい。
レッスン中は雑談も大切にしています。「こんなものが欲しかった」という何気ない一言から新しいアイデアが生まれたり、生徒さん自身が自分の好みに改めて気づいたりして、作品がより素敵なものに育っていく――そんな時間も、教室の醍醐味だと思っています。
